USARって何?
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 私たちはアメリカで実施されている「USARスペシャルメディカルコース」を受講してきました。期間は1週間です。

 まず、USARとは何でしょうか?Urban Search And Rescueを略したものです。日本語では都市型捜索救助隊となります。このUSARは連邦緊急管理庁:FEMA(Federal Emergency Management Agency )の救助隊(救助隊編成プログラム)です。

 USARは ハリケーン、地震、竜巻、洪水、火事または危険物の流出(自然の行為またはテロリズムの行為)などに対応するため、アメリカ国内で編成され、アメリカ国内に派遣される救助チームです。

 このUSARに招集される隊員の多くは、日常的には消防署や救急署、そして病院など、それぞれに勤務しています。災害があった際に連絡を受け、派遣されます。日本の IRT とタイプが似ていると感じました。

 今回の研修は、USARの隊員に対するスペシャルコースです。何がスペシャルかというと、救助活動現場、特に狭隘空間(簡単に言うと、身動きがとれないぐらいに狭い空間)での救急活動に対する特別な教育プログラムです。

 救命には、現場での医療処置が必要です。ですが、病院での医療処置とは異なり、現場の最前線では特別な技術が必要です。さらに狭隘空間には、救助隊員は何人も入れません。医療処置を実施する人が救助活動も実施しなければなりません。そのためには、救助方法にも特別な技術が必要です。

 これらの様々な技術を1週間びっちりと学んできました。訓練が終わる時間が遅いときは、夜中の1時なんてこともありました。この経験を、日本で生かしたいとメンバー全員考えています。写真を見て、楽しんでください。

 
USARとアメリカ救助研修
 研修に参加したメンバー
  私は一番左です。

Confined space(狭隘空間)

Confined spaceとは、簡単に言うと「身動きがとれないぐらいに狭い空間」という意味です。地震、ビル倒壊、土砂崩れなどの災害で救出された要救助者のほとんどが、Confined spaceで脱出不能になっていたのは、皆さんも知っていると思います。

狭隘空間はどのようにしてできあがるのでしょうか。様々な状況が考えられますが、一例を図にしました。

狭隘空間での救助活動

交通事故で車両内に脱出不能がいる場合を例に考えてみます。これを要救助者の立場で考えると狭い空間で身動きがとれなくなっている状態は、まさにConfined spaceでの脱出不能です。しかし、この時、救助する側は広いスペースのある中で活動しています。では、救助する側から考えるとConfined spaceはどのようになるのでしょうか。先に述べた、事故で考えると、事故車両が一般住宅の居室に押し込められた感じでしょうか。車両と壁に隙間はほとんどなく、レスキューツールもポートパワーも入りません。ですが、そこに救出を待つ傷者はいます。これがConfined spaceでの救助活動です。

現場で狭隘空間を広げることは不可能と言っていいでしょう。なぜなら、狭隘空間のまわりは瓦礫や土砂でスペースはないからです。この場合、使える資器材でどれだけ効率的に救助活動を実施するかがポイントになります。傷者を救出する際、持ち上げることはできません。引きずる事になります。この時、防水シートや布担架のようなものがあれば、効率的な活動ができるようになります。(具体的な写真を見たい方は最後に紹介するHPをご覧ください。)他には、進入管理板が必要です。化学機動中隊の方にはお馴染みかもしれませんが、時間管理の徹底が必要です。実災害では、救助活動に24時間以上かかったこともあるそうです。隊員の疲労を考えて交代させる必要があるのです。

 

隊員のPPE(Personal Protection Equipment)

隊員のPPEとは、自己防衛装備のことです。災害現場には様々な危険が潜んでいます。特に震災時のビル倒壊現場等では、私たちが日常対応している災害とは異なった危険が潜んでいます。特に体への悪影響が強いと考えられているのが、粉塵です。アメリカで発生した、同時多発テロの粉塵の状況が記憶に新しいと思います。あれは、マンガでも、映画でもなく、現実なのです。日本でも災害の状況によっては、あのような状況になってしまうかもしれません。粉塵対策は、防塵マスク、耳栓、ゴーグルです。その他には、私たちでも常識ですが、ヘルメット、グローブ、ブーツです。ブーツは安全靴が原則と言っていました。(編み上げはあてはまりません。)さらに、肘・膝パッドが重要です。地震災害等で多く発生する、狭隘空間での救助活動では、ほふく前進が基本です。パットがなければ肘と膝が傷だらけになるでしょう。

 このようなPPE(防塵マスク、耳栓、ゴーグル、ヘルメット、グローブ、ブーツ、肘・膝パッド)がそろっていなければ、訓練に参加させてもらえませんでした。自分の身を自分で守ることが基本中の基本だと、改めて感じました。