NBC災害対応新救助法

 
 

ショートピックアップのシュミレーション


 「○○ビルの2階で何らかのガスが撒かれた。」

 点線は危険区域

 ピンクの空間は生命に直接危険のあるガスが充満していると思われる空間

 ショートピックアップは多数傷者の場合に最大の救助救命効果が上がると考えていますので、10名とします。

 




NBC災害とは




N=Nuclear=放射線

B=Biological=生物剤災害

C=Chemical=化学物質災害


 

始めに解りにくいと思われるので映像で説明します。

『呼吸保護』 +『ショートピックアップ』

 ショートピックアップとは何かを言葉で定義してみました。これはC災害ベースの考え方ですが、N災害・B災害にも応用する事で様々な 効果を得る事ができます。

 ショートピックアップとは 「多数傷者が発生した際に多数を最短距離避難させることにより、多数の危険度を軽減させ、最大の救助救命効果を上げること」です。

赤の点線は危険区域

ピンクの空間は生命に直接危険のある区域(進入隊長判断)

 始めに・・・・・ この考え方は平成14年頃から発信していますがあまり受け入れられませんでした。しかし、平成19年頃から様々な分野の方々に受け入れられるようになり、現在では活動基準等に導入する等、具体的な活動として認めていただけるようになりました。しかし、災害は千差万別ですのでこの考え方だけが全てではありません。災害対応の一つの方法として活用していただけたらありがたいです。


呼吸保護について説明します。 

 呼吸保護とはどういう意味でしょう。新しい響きに聞こえますが実は通常の災害対応にすでにあった考え方です。それは火災現場で使う「簡易呼吸器」の考え方です。内容はシンプルです。

 火災現場では有毒ガスが発生しています。要救助者がガスを吸って、容体を悪化させないようにきれいな空気で呼吸を保護する。

 この内容を具体的にNBC災害に置き換えます。そうすると今まで考えていなかった(思いつかなかった?)活動が見えてきます。

 

 ホットゾーンにいる要救助者には呼吸保護が重要です。当然ですが、呼吸は肺を通じて体の深部と直結しています。つまり、ホットゾーンの中にいる要救助者は有毒物質に包まれ、危険な状態にいますが、簡易呼吸器や防毒マスク等で呼吸を保護する事で危険な状態ではなくなります。少し極端な言い方ですが、それほどに呼吸保護は重要だと言えます。


 簡易呼吸器や防毒マスク等の呼吸保護器具がない場合はどうでしょう?要救助者にとっては少しでも濃度の低いところ(人体に有害な物質が存在する可能性の低いところ)へ移動する事が呼吸保護につながります。


 有害物質の多くは呼吸器から人体に入り、悪影響を及ぼします。当然、皮膚からの影響もありますが、呼吸からの影響(人体の許容範囲)と比べると極端に差があります。


 それでは呼吸保護を目的としたショートッピクアップについて説明します。(ショートッピクアップでは呼吸保護以外にも様々なメリットが生まれます。)

オレンジ色の丸は陽圧防護衣の隊員です。

 具体的にショートピックアップを説明しましょう。

 まず、危険区域の中で歩行不能者がどのような範囲でいるのかを判断する必要があります。そこに新しく区域を設定するのではなく、歩行不能者がいる範囲の外側にショートピックアップ場所を指定し、周知します。この場合、空気の拡散やその後の活動を考え以下の内容を判断要素とします。

1 扉の閉鎖など空気の拡散を防止できる場所

2 複数の要救助者を移動しても活動障害にならない一定のスペースがある場所

3 他隊に伝えやすい目標のある場所

繰り返しになりますが目的は要救助者の呼吸保護です。

 その他のメリットについて説明します。

1 極端に濃度の濃い空間から要救助者を早期に移動させる事により隊員がその後その空間(濃度が濃いと予想される空間)に進入する必要がなくなる。

2 ショートピックアップ場所を指定し、周知する事で他隊(応援隊や第2進入隊)がショートピックアップ場所からの救出に着手できる。進入班ごとに短い距離での活動を担当できるので活動危険の認知もしやすい。要救助者を抱えた陽圧防護衣隊員が狭い空間ですれ違うような危険要素を減らす事ができる。


 これらの事を総合的に判断して効率よくショートピックアップを実施する事で要救助者の救命率を向上させると同時に隊員の安全管理も充実させる事ができます。

 


最短距離避難とは




生命に対する直接の危険がなくなると思われる距離


危険度の軽減とは




 原因物質から少しでも離す事


救助救命効果とは




効率的に救助する事と容態悪化させない事に対して同時に効果をだすこと



 

まとめ

 ショートピックアップと呼吸保護を組み合わせる事で要救助者の容態悪化を少しでも防ぐ事ができます。しかし、簡単に漏洩を防止できる場合(コックがある、簡単に物質を移動できるなど)では呼吸保護やショートピックアップよりも優先して原因物質を対応する必要があるかもしれません。災害は千差万別です。臨機応変にショートピックアップの概念を活用してください。